ボールの進化によってボウリングはどう変化した?

ボールの進化によってボウリングはどう変化した?

⑤ ボールの構造の変化でドリルも進化

先月号で、ボールの構造が変化してきたという話をしました。その変化は、ドリルにも大きな影響を及ぼしました。

私の本業でもあるドリルは、もともといかにその人の手(指)にフィットするボールを作るかが、仕事の大半でした。それは今も変わらないのですが、加えてレイアウトといって、ボールのどこに穴をあければその人にとって有効かというのを理解しなければ、あけられない時代になっています。

ドリル理論のなかに、スタティックバランスというのがありました。しかしそれは単なる現象であって、それがなぜそうなるかという物理的な解明はその時代にはなされませんでした。私もそうでしたが、1990年代のファントムの登場から、ようやく動的バランスに注目するようになりました。

遠心力によって回転軸にぐらつきが起こる。そのぐらつきによってボールの表面にフレアーという油の線がつく。それが広くなればなるほど、摩擦力に影響があるということがわかってきました。ではそれを起こさせるには、どういうふうに中玉にぐらつきを与えるドリルが必要かということが、そこではじめて求められるようになってきました。

ドリル理論もスタティックバランス(物理的には静的バランス)から、ダイナミックバランス(動的バランス)へという転換期が、1990年代から2000年にかけてありました。さらにそれまでコアといえば左右対称形でしたが、2000年代に入って非対称コアの登場とともに、マスバイアス理論という新たなレイアウトの手法が発見されます。

マスバイアスとは、質量の偏りを表した米国メーカーによる造語で、慣性モーメントやジャイロ慣性といった物理的な作用を利用して、ボールの回転軸の移動速度を変化させ、ブレイクポイントやバックエンドリアクションを調整するといいう、新たなレイアウト手法です。そのために設計上、意図的にコア形状を非対称にする必要性があり、コア形状も年を重ねるごとに進化を遂げ、現在に至っています。

もうひとつ、ドリルに変化を促したのには、投球スタイルの変化がありました。

まっすぐ投げてポケットに持っていくには、リフトアンドターンという技術が求められましたが、ボールの進化によって勝手に曲がってくれるわけですから、むしろ手の平をまっすぐ向けていたほうがいい。そうすると、回らないためには指穴の角度をどうするかを考えないといけない。

さらにローダウンといわれるような、高速回転を出すためのリリースでは、それまでリスタイを使って手首を固定していたのが、リスタイを外して手首を使いなさいというように変わってきた。また指先でリフトをして回転を与えていたのが、手のひらで前にこぼすようなリリースに変わってきた。その極致が、両手投げだと思います。

そういうふうに、投球技術が変わることによって、ドリルのフィッティングも変化せざるをえなくなってきたというのが、実情です。

著者プロフィール
日坂義人(ひさかよしひと)
1949年生まれ。東京都出身。ドリラー・インストラクター歴47年。神奈川県のスポルト八景ボウルとハマボールに店舗を持つヒサカプロショップ代表。日本オリンピック委員会強化スタッフ・JPBA理事、JBC指導委員会認証部会公認ドリラー。JPBAインストラクター委員会メンバー。インターナショナルシルバーコーチ。

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