ボールの進化によってボウリングはどう変化した?

ボールの進化によってボウリングはどう変化した?

⑥ パーティクル&オイル吸着カバー

先々月、先月号と少し話が脇道にそれましたが、今月は再びボールの表面素材(カバーストック)の話に戻します。

ボールの進化の歴史をたどると、不思議に10年ごとに大きな変革期を迎えています。80年代がウレタンの時代なら、90年代はリアクティブの時代というところまではお話をしました。そして2000年代は、パーティクルの時代といえると思います。

2000年に、米・ブランズウィック社が、初めてプロアクティブという素材を発表します。プロアクティブというのは固有名詞であって、リアクティブ素材にさらに固形の添加物を混ぜ合わせることで、表面に細かい粒子の突起ができるもので、分類ではパーティクルということになります。

ボールの開発競争は、あくまでもリアクティブウレタンをベースに、それにどんな添加物を加えるかという世界になっていきました。メーカーは企業秘密として、細かい情報を開示していませんが、例えれば自動車のタイヤのスタッドレスみたいなもので、加える添加物によって、ボールの表面にいろんな凸凹ができる、その凸凹の違いが、それぞれのボールの個性になっています。

最初に述べた、表面素材の進化は10年ごとに訪れるという流れからは少し外れますが、2007年にまた新たな革新がありました。米・エボナイト社がオイル吸着カバーという表面素材を発表します。

本来はこれも添加物によるものですが、化学合成によってさまざまな表面粒子形状を形成する製造法です。

同時に、突起物を用いている従来の製造法は、ナノレベルまで粒子が細かくなり、すべてが粒子の結束集合体という方向に進化してきました。

この時点で“パーティクル”という表現はほとんど死語になり、“オイル吸着カバー”という言い方が一般的になっています。

このオイル吸着カバーというのは、ボール表面の凸凹のなかに、レーンのオイルを閉じ込めることによって、摩擦力を保持しようというメカニズムです。そしてその素材が、その後のボールの主流にというよりも、現在新しく発表されているボールの表面素材は、オイルを吸着しないものはないと、どのメーカーもいっています。

オイルを閉じ込めるといっても、もちろん際限なく閉じ込められるわけではないので、そこにどんどんオイルが吸着すると、逆に摩擦力が低下してしまいます。それを排出しないと、そのボールが本来持っている摩擦力を維持できません。

近年のボールは、かつてないほどのパフォーマンスを得ることができる一方で、寿命がどんどん短くなっているのが現実です。次号では、現在のボールとの賢い付き合い方を中心にお話をします。

著者プロフィール
日坂義人(ひさかよしひと)
1949年生まれ。東京都出身。ドリラー・インストラクター歴47年。神奈川県のスポルト八景ボウルとハマボールに店舗を持つヒサカプロショップ代表。日本オリンピック委員会強化スタッフ・JPBA理事、JBC指導委員会認証部会公認ドリラー。JPBAインストラクター委員会メンバー。インターナショナルシルバーコーチ。

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