ボールの進化によってボウリングはどう変化した?

ボールの進化によってボウリングはどう変化した?

⑩ レーンメンテマシンの進化がもたらす影響

ボウリングは、いうまでもなく相対するレーンコンディションをどう攻略するかという競技でもあります。そのレーンについて、ウッドからシンセティックへと素材が変わってきたことは、以前にも触れました。もうひとつ大きな変化は、メンテナンスマシンの進化です。

もともとはレーンのクリーニングからオイルの塗布まで、1本1本人の手でやっていた作業を、自動化するマシンが1980年ごろに登場し、日本のボウリング場にも急速に普及していきました。しかし私が神奈川国体の強化委員を依頼された平成10年(1998年)ごろでも、まだ横方向のオイル分布の調整はほとんどできなくて、縦じまのレーンしかできませんでした。

その後、当時の米・AMF社が発表したツインスターというマシンは、クリーニングをしながら横方向の分布がある程度きれいにできるというのが売りでした。さらに米・ブランズウィック社が開発したオーソリティーでは、板目39枚の1枚ごとにオイルの違いを出せるようになりました。とくにこの10年ほどのメンテナンスマシンの進化は目覚ましいものがあります。わかりやすくいえばインクジェットプリンターのようなもので、非常に細かい設定が自在にできるようになりました。

PBAでは、トーナメントを、バイパー、シャーク、スコーピオン、カメレオン、チーターの5パターンのアニマルコンディションのなかから選んで行っていますし、WB(旧WTBA)の国際大会などでも、事前に大会コンディションを発表しているようですが、それも設定どおりに正確にオイルを引くことができるマシンがあってのことです。

しかし、設定どおりにオイルが塗られたとしても、まったく同じコンディションが作られるわけではありません。とくにベースとなる、そのボウリング場のレーンの状態に大きく左右されます。レーン認証を受けているといっても、横方向のおうとつは約1ミリまでが許容範囲となっていますし、縦方向は規制がありません。普段のクリーニングの状態によっても違うでしょうし、同じセンターでも、“あのボックスに入るとどうもスコアが出ないんだよね”というような声はよく耳にします。

ましてやボールが、オイル吸着カバーといわれる素材が全盛の時代ですから、1投ごとにボールがオイルを吸っていきます。メーカーも、できるだけ変化を少なくするように、粘度調整などを研究しているようです。米・ケーゲル社の最新機種では、往きに粘土の高いオイルを引いておき、戻ってくるときに粘度の低いオイルを乗せるというように、2種類の違うオイルを引くことができるようです。

それにしてもグラフで示されたオイル分布はスタート時だけで、ゲームが進むごとに変化していくのは止めようがありません。だからそのように考えると、発表されたパターンをうのみにして戦うということ自体がそもそも間違いで、自分で投げて感じて、それにどう対処できるかというのが、ボウリングという競技の本質だと思います。

著者プロフィール
日坂義人(ひさかよしひと)
1949年生まれ。東京都出身。ドリラー・インストラクター歴47年。神奈川県のスポルト八景ボウルとハマボールに店舗を持つヒサカプロショップ代表。日本オリンピック委員会強化スタッフ・JPBA理事、JBC指導委員会認証部会公認ドリラー。JPBAインストラクター委員会メンバー。インターナショナルシルバーコーチ。

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